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院長コラム

いびきがうるさいと言われた(うるさくて寝れない)

生活習慣病  / 睡眠時無呼吸症候群・いびき

いびきの種類

単純性いびき症(習慣性いびき)

単純いびきは、日常的にいびきをかくものの、睡眠中の呼吸停止や日中の強い眠気などを伴わないタイプのいびきです。肥満や鼻づまり、口呼吸、仰向けでの睡眠、アルコールの摂取などが原因となることが多く、生活習慣の改善によって軽減が期待できます。多くの場合、健康への深刻な影響はありませんが、家族の睡眠を妨げることもあります。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)に伴ういびき

閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に気道が塞がることで呼吸が一時的に停止し、それに伴っていびきをかく病気です。いびきの途中で呼吸が止まり、再開する際に大きないびきやむせるような音が出るのが特徴です。日中の強い眠気や集中力の低下を引き起こすことがあり、放置すると高血圧や心疾患のリスクが高まるため、早期の診断と治療が重要です。

中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)に伴ういびき

中枢性いびきは、脳の呼吸中枢の異常により生じるいびきです。閉塞性とは異なり、空気の通り道が塞がれるわけではなく、呼吸そのものの指令が一時的に止まることで無呼吸が起こります。心不全や神経疾患が背景にあることが多く、いびきの治療というよりも、まずは基礎疾患の管理が必要となります。

子どものいびき

子どもがいびきをかく場合、原因として多く見られるのが扁桃腺やアデノイド(咽頭扁桃)の肥大です。早期に耳鼻咽喉科を受診し、必要であれば手術などの治療が行われることがあります。

いびきがうるさい原因

鼻づまりによるいびき

鼻づまりがあると、十分に鼻呼吸ができず、口呼吸になりやすくなります。口呼吸では、空気が喉の奥を通る際に振動しやすく、これが強いいびきの原因となります。アレルギー性鼻炎や風邪、副鼻腔炎などが鼻づまりを引き起こすことが多く、特に睡眠中に鼻が詰まっていると音が大きくなりがちです。鼻スプレーやアレルギー治療、寝る姿勢の工夫などで改善が期待できます。

肥満によるいびき

肥満になると、喉や首まわりに脂肪がつき、気道が狭くなりやすくなります。睡眠中に舌や軟口蓋(のどちんこ(口蓋垂)周辺の柔らかい組織)が沈み込み、空気の流れが乱れることで、強く大きないびきをかくことがあります。また、肥満は睡眠時無呼吸症候群の大きなリスク因子でもあります。いびきがひどい場合は、体重のコントロールが有効な対策となります。

アルコール摂取によるいびき

就寝前にアルコールを摂取すると、喉の筋肉がゆるみ、気道が狭くなります。その結果、呼吸時に組織が振動しやすくなり、大きないびきを引き起こします。また、アルコールは中枢神経を抑制するため、呼吸のリズムも不安定になりやすく、睡眠の質も低下させます。さらに、アルコールは毛細血管を充血させ鼻閉の原因となるので、より口呼吸を強いられます。アルコール性のいびきは一時的なことが多いですが、習慣的に飲酒すると慢性化する恐れもあります。

仰向け寝によるいびき

仰向けで寝ると、舌が重力で喉の奥に落ち込みやすくなり、気道をふさぐ原因となります。これにより空気の流れが妨げられ、いびきが大きくなることがあります。特に、舌が大きい人や顎が小さい人はこの影響を受けやすいです。横向きに寝ることで舌の沈下を防ぎ、いびきの軽減が期待できます。抱き枕や寝返りを促す寝具の活用も効果的です。

加齢によるいびき

年齢を重ねると、喉や舌を支える筋肉がゆるみやすくなり、睡眠中に気道が狭くなりやすくなります。その結果、空気の通りが悪くなり、いびきが発生しやすくなります。また、加齢によって深い睡眠が減少し、浅い睡眠中に筋肉の緊張が低下することで、より音が大きくなることもあります。生活習慣の見直しや軽い筋トレ、睡眠姿勢の工夫が対策となります。

睡眠時無呼吸症候群によるいびき

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に繰り返し呼吸が止まり、そのたびに強いいびきをかくのが特徴です。無呼吸状態の後に突然呼吸が再開される際、大きないびきやガーガーという音が出ることがあります。重症化すると日中の眠気や高血圧、心疾患などのリスクも高まります。疑われる場合は、医療機関での検査や治療(CPAPなど)が必要です。当院でもCPAP治療に対応しています。いびきにお悩みでしたらご相談ください。

喉の構造によるいびき

先天的に気道が狭かったり、舌が大きかったり、扁桃腺やアデノイドが肥大していると、いびきをかきやすくなります。特に顎が小さい人や、舌が後方に落ちやすい人では、睡眠中に気道が部分的にふさがれて大きないびきが生じることがあります。このような構造的な問題は、専門的な検査や治療(マウスピース、手術など)で改善が見込まれます。

女性のいびきに特徴はある?

女性は男性に比べていびきをかく頻度が少ないとされてきましたが、実際には年齢やホルモンの変化により、いびきをかく女性も少なくありません。特に閉経後は女性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)の分泌が減少し、喉や気道の筋肉の緊張が弱まることで、気道が狭くなりやすくなります。また、妊娠中は体重増加や鼻づまりによっていびきが起こることもあります。女性のいびきは見過ごされがちですが、睡眠の質の低下や無呼吸のリスクを含む場合もあるため、気になる際はご相談ください。

いびきが気になるときの検査

問診・診察

まずは問診で、いびきの頻度・音の大きさ・無呼吸の有無・日中の眠気などを確認します。あわせて、体格や首回りの太さ、喉や鼻の状態なども診察されます。

簡易睡眠検査(簡易PSG)

自宅で行える検査で、鼻の気流や血中酸素濃度、呼吸の有無などを計測します。機器は医療機関から貸し出されることが多く、一晩装着してデータを記録します。睡眠時無呼吸症候群のスクリーニングに有用です。

終夜睡眠ポリグラフ検査(精密PSG)

病院で一泊して行う本格的な検査です。脳波・眼球運動・筋電図・呼吸の動き・心拍・酸素飽和度など多項目を同時に測定し、睡眠の質や無呼吸の有無・重症度を正確に診断できます。重症例や治療方針を立てる際に重要です。

その他の検査

耳鼻科では、気道の狭窄部位を調べるためにファイバースコープ(内視鏡)による観察や、CT・レントゲンなどを使うこともあります。歯科や口腔外科では、顎の形や噛み合わせの評価も行う場合があります。

いびきを静かにさせる方法(黙らせる対処法)

寝る姿勢を工夫する

仰向け寝は舌が喉に落ち込みやすく、いびきを悪化させます。横向き寝を意識することで気道の確保ができ、音が軽減されることがあります。抱き枕や横向き寝用の枕の活用もおすすめです。

アルコール・睡眠薬を控える

飲酒をすると寝つきはよくなりますが、睡眠の質が悪くなり中途覚醒を引き起こします。就寝前の飲酒や睡眠薬の服用は喉の筋肉をゆるめ、気道が狭くなるためいびきの原因になります。特に就寝前の飲酒は控えるようにしましょう。また、睡眠薬の使用もできるだけ控えるようにしましょう。

鼻呼吸を促す

鼻づまりがあると口呼吸になり、いびきをかきやすくなります。アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎の治療、市販の鼻腔拡張テープ、加湿などで鼻呼吸しやすい環境を整えましょう。口呼吸が習慣になっている人は、日中から鼻呼吸を心がけるようにしましょう。

体重管理をする

首まわりの脂肪が増えると気道が狭まり、いびきが悪化します。適正体重を維持することで改善されるケースも多く、特に肥満傾向のある方は生活習慣の見直しが効果的です。

マウスピース(スリープスプリント)

睡眠中に下あごを前に出すように固定する装置で、気道を広げていびきを防ぎます。歯科で作成できます。

医療機関での治療

重症の睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、CPAP(持続陽圧呼吸療法)などの専門治療が必要です。

「いびきがうるさい」に関するよくある質問

配偶者や家族のいびきがうるさいとき、どうすればいいですか?

まずは本人にいびきの自覚を促し、対策や受診をすすめることが重要です。自分自身は耳栓やホワイトノイズマシンを活用する方法もあります。録音して本人に聞かせると気づきを与えやすくなります。

市販薬でいびきは治せますか?

鼻づまりが原因のいびきには、一時的に効果のある市販の点鼻薬などがありますが、根本的な改善にはならないことが多いです。原因に合った対処が必要です。

仰向けで寝るといびきがうるさくなるのはなぜですか?

仰向けになると舌や軟口蓋(のどちんこ(口蓋垂)付近)が重力で喉の奥に落ち込みやすく、気道が狭くなるため、いびきが出やすくなります。横向き寝にすることで気道が確保され、いびきが軽減する場合があります。

いびきが急にひどくなったのはなぜですか?

風邪や花粉症などで鼻づまりが起きたり、体重が増えたり、ストレスや疲労が蓄積していたりすると、いびきが突然悪化することがあります。継続する場合は一度検査を受けると安心です。

いびきがうるさくて目が覚めることがあります。これも問題ですか?

睡眠が浅くなっている可能性があります。自分のいびきの音で覚醒してしまうほどの場合、無呼吸や睡眠の質の低下が疑われるため、睡眠検査を受けることが勧められます。

いびき防止グッズは効果がありますか?

鼻腔拡張テープ、いびき防止枕、口閉じテープ、マウスピースなどは、原因に合えば一定の効果があります。ただし合わないものを使っても改善しないため、使用前に原因の特定が重要です。

ダイエットでいびきが改善することはありますか?

あります。特に首や喉のまわりに脂肪がつくと気道が狭くなるため、体重を減らすことで気道が広がり、いびきが軽減することがあります。生活習慣の見直しは重要です。

いびきを放置するとどうなりますか?

慢性的ないびきや無呼吸を放置すると、高血圧、心疾患、糖尿病、脳卒中などの生活習慣病のリスクが高まります。また、日中の事故(交通事故や作業ミス)のリスクも増えます。