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院長コラム

高熱が続く、熱が下がらない(大人、1週間)

熱・感染症

高熱が続く・熱が下がらない原因は?

肺炎

肺炎はウイルスや細菌などによって肺に炎症が起こる病気で、高熱が数日間続くことがあります。咳や痰、胸の痛み、息切れなどの症状を伴うことが多く、特に高齢者では症状が目立たない場合もあります。抗菌薬や入院治療が必要となることもあり、早期の診断と適切な治療が重要です。

尿路感染症(腎盂腎炎)

尿路感染症のうち腎盂腎炎では、悪寒を伴う高熱が出ることが多く、背中や腰の痛み、頻尿、排尿時の痛みを伴います。放置すると腎機能の悪化や血液中に細菌が侵入する菌血症を引き起こす危険があり、抗菌薬による治療が必要です。女性や高齢者に多く見られる傾向があります。

インフルエンザ

インフルエンザは38〜40℃近い高熱が急に出るのが特徴で、関節痛や倦怠感、喉の痛み、咳などを伴います。通常は3〜5日で熱が下がりますが、免疫力が低下している場合は肺炎などの合併症を起こし、熱が長引くことがあります。抗ウイルス薬の早期投与が有効です。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)

新型コロナは発熱が1週間以上続くことがあり、咳や喉の痛み、味覚・嗅覚障害、全身のだるさを伴うことがあります。重症化すると呼吸困難や肺炎を起こすため、特に基礎疾患のある方や高齢者では注意が必要です。PCR検査や抗原検査での診断が行われます。

膠原病(成人Still病、SLEなど)

自己免疫疾患の一種である膠原病では、原因不明の発熱が数週間以上続くことがあります。関節痛、皮疹、リンパ節の腫れなど全身症状が見られ、感染症とは異なる経過をたどるのが特徴です。血液検査や自己抗体の検査で診断され、ステロイドなどで治療します。

結核

結核は結核菌による慢性の感染症で、微熱または断続的な発熱が数週間〜数か月にわたり続くことがあります。咳や痰、寝汗、体重減少などを伴うことが多く、肺以外の臓器に広がることもあります。近年は高齢者や免疫低下者での再発が増加しており、喀痰検査で診断されます。

感染性心内膜炎

心臓の弁に細菌が感染して起こる病気で、持続的な発熱が続くことが特徴です。倦怠感や心雑音、皮下出血斑などを伴うことがあり、血液培養検査や心エコーで診断します。心疾患の既往がある人に多く、抗菌薬による長期間の治療が必要です。進行すると重篤な合併症を引き起こします。

悪性腫瘍(がん)

がんの一部(血液のがんや進行がん)では、持続的な発熱が出ることがあります。がんそのものや、がんに伴う免疫反応・感染症などが原因で熱が長引きます。その他の症状(体重減少、食欲低下、夜間の寝汗など)も一緒に見られることがあり、血液検査や画像検査が必要です。

大人で1週間高熱が続く・熱が下がらない原因は?

感染症

肺炎や結核、尿路感染症、感染性心内膜炎など、慢性化または重症化した感染症は1週間以上の高熱を引き起こします。ウイルス感染でも新型コロナウイルスやEBウイルス(Epstein-Barr virus, EBV)など、一部は長引くことがあります。

細菌感染症

肺炎、尿路感染症、扁桃炎など細菌による感染症も39度以上の熱が数日続くことがあります。抗菌薬が必要な場合が多いため、症状や体調の変化をよく観察し、早めの受診をおすすめします。

膠原病・自己免疫疾患

成人Still病や全身性エリテマトーデス(SLE)など、自己免疫が体を攻撃する病気では原因不明の発熱が長期間続き、関節痛や皮疹を伴うことがあります。

その他

薬剤熱や悪性腫瘍なども考慮されますが、比較的まれです。長引く高熱には必ず医療機関での診断が必要です。

大人で熱が上がったり・下がったりする原因は?

大人で熱が上がったり下がったりする原因には、結核や感染性心内膜炎などの感染症、成人Still病や全身性エリテマトーデス(SLE)などの自己免疫疾患、リンパ腫や白血病などの悪性腫瘍、そして薬剤熱が挙げられます。これらの病気では体内の炎症や免疫反応により熱が波状に変動することが多く、早めの医療機関受診が重要です。

高熱が続く・熱が下がらないときの検査・診断

高熱が続く・熱が下がらない場合は、原因を特定するために詳しい検査が必要です。まず問診や身体診察で症状や既往歴を確認し、血液検査で白血球数やCRP値など炎症の程度を調べます。感染症の可能性がある場合は胸部レントゲンや尿検査、血液培養検査が行われ、必要に応じて心エコーやCT検査も実施します。自己免疫疾患や悪性腫瘍が疑われる場合は自己抗体検査や腫瘍マーカー検査を行い、専門医による診断と治療が進められます。

なお、CT検査など専門的な検査が必要な場合、当院では連携する医療機関をご紹介いたします。

高熱が続く・熱が下がらないときの治療・対処法

高熱が続く・熱が下がらない場合は、まず原因となる病気の特定と適切な治療が必要です。感染症が原因であれば抗菌薬や抗ウイルス薬を用います。自己免疫疾患や膠原病の場合はステロイドなどの免疫抑制剤が使われます。熱を和らげるためには解熱剤の使用や十分な水分補給、安静が基本です。また、体温管理のために冷却シートや適切な室温調整も有効です。症状が長引く場合は必ず医療機関での継続的な診察・治療を受けましょう。

冷却ジェルシート(冷えピタなど)はどこに貼ると効果的?

冷却ジェルシートは気化熱により、シートを貼ったところの局所の熱を下げる効果が期待されます。例えば、熱による頭痛の場合では、冷却ジェルシートを額に貼ることで、頭痛の症状を緩和させる効果が期待されます。しかし、冷却ジェルシートを使用しても全身の体温を下げる効果はありません。

冷却ジェルシートはあくまで熱を下げる補助的なものであり、長時間の使用や直接肌に貼り続けると皮膚がかぶれることがあるため注意してください。高熱が続く場合は必ず医療機関での診察を受けましょう。

高熱が続く・熱が下がらないに関するよくある質問

大人で1週間以上高熱が続くとき、すぐに病院を受診したほうがいいですか?

1週間以上高熱が続く場合は重篤な病気の可能性もあるため、できるだけ早く医療機関を受診し、検査や診断を受けることが大切です。

自宅でできる高熱対策はありますか?

水分補給や安静、解熱剤の適切な使用、冷却シートや室温調整などが効果的です。ただし、症状が改善しない場合は医師の診察を受けましょう。

高熱が続くと体がだるくて動けません。これは普通ですか?

高熱による体のだるさや倦怠感はよくある症状です。十分な休息と水分補給が大切ですが、症状が強い場合は医師に相談してください。

解熱剤は使ってもいいですか?熱が下がりにくくなることはありますか?

解熱剤は症状を和らげるために使って問題ありません。ただし、根本的な原因の治療にはならないため、熱が長く続く場合は必ず受診してください。

熱が続くときに食事はどうしたら良いですか?

食欲がない場合は無理に食べる必要はありませんが、脱水を防ぐために水分補給をしっかり行い、消化に良い軽めの食事を摂るとよいでしょう。

熱が下がらない場合、どのタイミングで再度受診すれば良いですか?

症状が悪化する、呼吸困難や強い胸痛、意識障害が出た場合はすぐに受診してください。症状に変化がなくても1週間以上高熱が続く場合は早めの再診をおすすめします。

熱が続く間、仕事や学校は休んだほうが良いですか?

高熱が続く場合は体力が落ちているため、無理せず休養を優先しましょう。感染症の場合は他人にうつすリスクもあるため、医師の指示に従ってください。

熱以外にどんな症状があったら注意すべきですか?

激しい頭痛、息切れ、胸痛、意識障害、皮膚の発疹や出血斑などがあれば、早急に受診してください。

市販の解熱剤で熱が下がらない場合はどうしたら良いですか?

市販薬で熱が下がらない場合や症状が悪化する場合は、自己判断せずに速やかに医療機関を受診してください。