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院長コラム

咳が止まらない(熱はない・痰が絡む)

喉・呼吸器疾患

咳の種類

咳が止まらない

湿った咳(湿性咳嗽)

痰を伴う咳で、喉や気道に分泌物が溜まっていることを示します。風邪や気管支炎、肺炎などでよく見られます。痰を外に出すことで気道をきれいにしようとする生体反応のひとつです。咳は重たく「ゴホゴホ」と響くのが特徴です。長引く場合は慢性気管支炎や副鼻腔炎なども考えられるため、注意が必要です。

乾いた咳(乾性咳嗽)

痰を伴わない乾いた咳で、喉の奥が刺激されて「コンコン」と空咳が続くのが特徴です。風邪の初期やウイルス感染後、アレルギー、咳喘息などが原因で見られます。乾いた咳は長引くことも多く、夜間や会話時に強まることがあります。原因に応じた治療が必要です。

発作性咳嗽

突然起こり、しばらく続く激しい咳を「発作性咳嗽」といいます。百日咳や気管支喘息、咳喘息などで見られ、連続的に咳が出ることで息苦しさを伴うことがあります。特に百日咳では「コンコンコン…ヒュー」と吸気音を伴う咳発作が特徴です。夜間に悪化しやすく、長引くこともあります。

犬吠様咳嗽(けんばいようがいそう)

まるで犬が吠えるような「ケンケン」という喉の奥から出てくる特徴的な咳です。クループ症候群(急性喉頭気管気管支炎)などで、幼児に多く見られます。声がかすれ、吸気時のゼーゼー音(吸気性喘鳴)を伴うこともあり、重症化すると呼吸困難になる恐れがあります。早めの受診が必要です。

慢性咳嗽

咳が8週間以上続く状態を「慢性咳嗽」といいます。原因としては咳喘息、アトピー咳嗽、逆流性食道炎、後鼻漏(こうびろう)、ACE阻害薬の副作用などが考えられます。単なる風邪と思って放置せず、原因を見極めて適切な治療を受けることが大切です。

熱(発熱)がある咳の止まらない原因

肺炎

細菌やウイルスの感染で肺に炎症が起きる病気で、発熱・咳・痰・息苦しさなどがみられます。高熱が続き、咳が長引く場合は肺炎が疑われます。特に高齢者では症状が軽くても進行することがあるため注意が必要です。診断には胸部レントゲンや血液検査が有用です。

インフルエンザ

突然の高熱や全身のだるさ、関節痛、咳などが主な症状です。ウイルスによる感染症で、冬季に流行します。咳は初期から強く出ることが多く、数日間は高熱が続きます。早期に抗インフルエンザ薬を用いると症状の軽減が期待できます。

気管支炎(急性)

風邪のウイルスなどが原因で気管支に炎症が起き、咳とともに発熱や痰が出ます。軽いものなら自然に治ることが多いですが、咳が1〜2週間以上続くこともあります。細菌感染が疑われる場合は抗菌薬が処方されることもあります。

結核

咳と微熱が長期間続く場合は結核も考慮されます。初期は風邪に似た症状で始まり、だんだんと咳が長引き、夜間の発熱や寝汗、体重減少などがみられます。胸部レントゲン検査や喀痰検査で診断されます。早期発見と治療が重要です。

熱はないが咳の止まらない原因

咳喘息

喘鳴や息苦しさはなく、乾いた咳だけが長く続くのが特徴です。夜間や早朝、気温差で悪化しやすく、風邪の後に始まることもあります。熱は伴わず、1か月以上続く咳の原因として多いです。気管支の過敏性が関係しており、吸入ステロイドなどで治療します。

後鼻漏(こうびろう)

副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などで鼻水が喉に流れ込む状態で、刺激によって咳が出ます。痰が絡むような咳が特徴で、熱はなくても長く続くことがあります。鼻の症状が軽いため見逃されがちですが、耳鼻科的治療で改善することが多いです。

逆流性食道炎

胃酸が食道に逆流して喉を刺激し、咳が出ることがあります。特に横になったときや食後に悪化しやすく、胸焼けや喉の違和感を伴うことも。熱は出ませんが、咳だけが長引くため気づかれにくい原因のひとつです。胃酸を抑える薬で改善が期待できます。

鼻水が出て咳が止まらない原因

風邪やインフルエンザ

風邪やインフルエンザなどのウイルス感染症では、鼻や喉の粘膜に炎症が起こります。これにより鼻水が増え、鼻づまりやくしゃみも伴います。炎症が喉にも及ぶと、刺激で咳が出やすくなります。通常は数日から1週間程度で自然に治りますが、症状が長引く場合は医療機関での受診が必要です。

副鼻腔炎(蓄膿症)

副鼻腔炎は鼻の奥の副鼻腔に炎症が起きて膿がたまる病気です。鼻水や鼻づまりが続き、膿性の鼻水が喉の奥に流れる後鼻漏が起こります。この後鼻漏が喉を刺激し、咳が長期間続くことがあります。慢性的な場合は抗生物質や点鼻薬の治療が必要です。

アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎は花粉やハウスダストなどのアレルゲンにより鼻粘膜が過剰に反応し、鼻水やくしゃみ、鼻づまりが起こります。鼻水が喉に流れる後鼻漏によって喉が刺激され、咳が出ることもあります。抗アレルギー薬や点鼻薬で症状を抑えることが重要です。

アトピー咳嗽

アレルギー体質の人にみられる慢性的な咳で、痰を伴わない乾いた咳が長く続きます。咳喘息と似ていますが、気管支拡張薬が効かず、抗アレルギー薬が有効なことが多いです。熱はなく、レントゲンや血液検査で異常が見つからないこともあります。

咳が止まらないときの検査・診断

咳が止まらないときは、原因を特定するために問診・聴診に加え、胸部レントゲン検査や血液検査を行います。必要に応じて、アレルギー検査、喉や鼻の内視鏡検査、呼吸機能検査(スパイロメトリー)などを行うこともあります。咳の性質(乾いた咳か痰を伴うか)、持続期間、時間帯、他の症状の有無を総合的に判断し、感染症・喘息・アレルギー・逆流性食道炎などの病気の有無を見極めます。

咳が止まらないときの治療・対処法

咳が止まらないときの治療は、原因に応じて行います。感染症が原因なら抗菌薬や抗ウイルス薬、喘息やアレルギー性咳嗽には吸入薬や抗アレルギー薬、逆流性食道炎による場合は胃酸を抑える薬を使用します。乾いた咳には鎮咳薬、痰が絡む咳には去痰薬を使うこともあります。加湿や水分補給、刺激物を避けるなどの生活習慣の見直しも重要です。自己判断で市販薬を使い続けず、症状が続く場合は当院までご相談ください。

咳は何日続いたら受診が必要?

咳が1〜2週間以上続く場合は、医療機関の受診をおすすめします。特に、以下のような症状がある場合は早めの受診が必要です。

  • 発熱している
  • 痰が増える
  • 息苦しさがある
  • 夜間や運動時に咳が悪化する
  • ゼーゼーする
  • 咳とともに胸の痛みや体重減少がある
  • 血痰がある
  • 市販薬を使っても咳が改善しない

単なる風邪による咳は1週間程度で軽快することが多いため、2週間以上咳が続く場合は何らかの病気が潜んでいる可能性があります。お早めにご相談ください。

咳が止まらない(熱はない)に関するよくある質問

熱がない咳は放置しても大丈夫ですか?

数日から1週間程度の軽い咳であれば様子を見ることもありますが、2週間以上続く場合は放置せずに受診しましょう。慢性的な咳は呼吸器疾患のサインであることもあります。

熱がなくても感染症の可能性はありますか?

熱がなくても軽度のウイルス感染や細菌感染が原因で咳が出ることがあります。ただし通常は熱や他の症状を伴うことが多いため、症状の経過をよく観察しましょう。

熱がない咳に効く市販薬はありますか?

咳止めや去痰薬が市販されていますが、原因によっては効果が限られます。症状が続く場合は自己判断せず医師に相談しましょう。

熱がないのに夜だけ咳がひどくなるのはなぜですか?

夜間は横になることで喉に分泌物がたまりやすくなり、気道が刺激されて咳が出やすくなります。また、喘息や逆流性食道炎、アレルギーが原因の場合も夜間の咳が悪化しやすいです。

タバコを吸っていると熱がなくても咳が出やすいですか?

喫煙は気道を刺激し慢性的な咳の原因となります。熱がなくても咳が続く場合、喫煙が関係していることが多いです。

熱がなくても咳が続くとき、アレルギーが疑われますか?

花粉やハウスダストなどのアレルゲンに反応して咳が続くことがあります。アレルギー検査や環境の見直しが有効です。

咳が出て声がかすれるのはなぜですか?

咳の刺激で声帯が炎症を起こし、声がかすれることがあります。喉の使いすぎや逆流性食道炎も関係することがあります。

熱はないけど咳が続くときに喉がイガイガするのはなぜですか?

喉の乾燥や軽い炎症、または後鼻漏(鼻の奥からの分泌物)が喉に落ちて刺激を与えることで、イガイガや咳が続くことがあります。

熱がない咳で胸が痛くなることはありますか?

咳のし過ぎで胸の筋肉や肋間神経が刺激され痛みを感じることがあります。また、気管支や肺の問題がある場合も痛みが生じることがあります。

咳止め薬は熱がない場合でも使って良いですか?

熱がなくても咳がつらい場合は市販の咳止めを使うことは可能ですが、長期間続く咳は医師に相談してください。

咳が続くと疲れやすくなるのはなぜですか?

咳が続くと睡眠の質が低下し、身体に負担がかかるため疲労感が強くなります。また、呼吸が浅くなり体全体の酸素供給が悪くなることも原因です。